契約社員は辞められないのか

1.契約社員とは

 使用者と期間の定めのある労働契約を結んで労務を提供する労働者の事を一般に契約社員、期間社員、準社員、非正規労働者等と呼びますが、退職に際しては正社員と異なる規定が置かれています。

 

 

2.契約社員の退職(原則)

 まず原則として、契約自由の原則に基づいて締結された労働契約期間の満了を以って退職することになります。具体的には労働契約書に記載された契約期間が2018年11月1日までなら、2018年11月1日までに特段の事情がなければ、当該日に退職することになります。

3.契約社員の退職(例外)

しかし、契約期間満了を以って労働関係が終了するという原則を貫徹すると労働者にも使用者にも不都合が生じます。そこで法は、例外の規定を置いています。具体的には以下の通りです。

 

①やむを得ない事由による解除
 民法628条※は、「当事者が期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は直ちに契約の解除をすることができる」と規定しています。
 要件としては、ⅰ雇用期間を定めたこと(定めてなくても可)、ⅱやむを得ない事由があること、
ⅲ即時解約の申し入れをすることになります。ここでⅱやむを得ない事由の意味については一般的に労働者が「労働に従事できない」ことが社会通念上相当と認められるものが該当します。具体例としては賃金未払、心身の故障、ハラスメント被害、家族の介護、移住などが該当します。

 ②明示された労働条件が事実と相違する場合
 労働基準法15条1項※は、使用者に労働条件を明示することを義務付けています。そして同2項は、「
明示された労働条件が事実と相違する場合」においては、労働者に即時解除権を認めています。具体例としては休日に休ませてもらえない、契約内容より賃金がすくない等があります。上記のやむを得ない事由にも該当しそうですが、特別法である労働基準法の本規定の方が優先されます。

③1年を超える期間を定めた場合で、かつ、1年以上経過している場合
 労働基準法137条※は、1年を超える期間の定めのある労働契約を締結した一般労働者に対して、契約の初日から1年以上経過していれば無条件で即時退職する権利を認めています。注意が必要なのは契約期間が1年を超えている必要があることです。ちょうど1年の契約だと該当しません。

 

いずれにしても、合意退職の申入れに対して会社側が承諾すれば退職出来ることについては正社員と差異はありませんが、受諾の自由は当事者にありますので、円満退職を求めるなら上記例外は次の手段と考えるべきでしょう。

 

※民法 第628条(やむを得ない事由による雇用の解除)当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。 

※労働基準法 第15条(労働条件の明示) 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
○2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
○3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

※労働基準法 第137条 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。